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夜尿症(おねしょ)

夜尿症(おねしょ)とは?

夜尿症とは、5~6歳以上の人が夜間睡眠中の無意識の状況下で排尿を行い、しかも継続することを指す病気です。別名・遺尿症とも称されますが、いわゆる「おねしょ」「寝小便」と呼ばれるものは、5~6歳未満の幼児や継続しない状態を示します。

夜尿症は身体の発達やホルモン分泌の安定を持って減少してゆくものです。従って5歳児では約15%の割合でみられますが、小学校高学年になると全体の5%にとどまります。しかし、中には成人の患者様もいらっしゃいます。
また夜尿症には昼間の尿失禁(遺尿)も挙げられますが、日本夜尿症学会ではこのうち頻尿、尿意の切迫感を伴うものを「過活動膀胱」としており、夜尿症と区別しているのがポイントです。
診察ですが、小児~学童の場合は小児科で、成人の場合は泌尿器科で受診できます。

夜尿症(おねしょ)の症状は?

まず、夜尿症は主に夜間睡眠時の無意識の状態で排尿を行うことで、命を左右する病気ではありません。通常は膀胱が尿で満たされた状況になったときに覚醒しますが、夜尿症の場合、その機能が未熟であるととらえられています。

また膀胱容量ですが、正常なケースでは夜間時は昼間時に比べ1.5倍あるのが特徴で。しかし夜尿症の患者さまは夜間の膀胱容量は昼時と同様か、もしくは少ないという研究結果があります。つまり夜尿症の患者さまはより少ない尿量で排尿を行ってしまうため、尿意を感じた際にトイレに行けるようになることが肝心です。

夜尿症はかつて年齢が進むにつれ消滅するといわれており、自然消滅するケースも多くみられます。しかし何らかの原因で成人後も遺尿が残り、患者さまにとって大きなストレスとなっているのも問題です。

夜尿症(おねしょ)の原因は?

夜尿症に至る原因は色々あります。睡眠時のリラックスした状況下で起きる腎臓の機能の活発化による夜間尿量の増加や膀胱容量の減少、同じく就寝中の排尿筋が過活動になること、そして何らかの原因による、睡眠と覚醒のリズムが崩れる睡眠覚醒障害のそれぞれが主な要因です。またそれらを複合したケースもあります。

さて、夜間尿量の増加についてですが、高血圧や糖尿病、うっ血性心不全など、深刻な内臓の病気が隠れている場合もあります。膀胱容量の減少では過活動膀胱のほか、前立腺の障害や、パーキンソン病やてんかんなどの脳の病気による膀胱のコントロール不全も引き金になります。
従って一口に夜尿症と看過せず、生活習慣病やそのほかの疾病が隠れていないか、医療機関できちんと診てもらうことが必要です。

夜尿症(おねしょ)の検査・診断は?

夜尿症で行う検査の一つに、尿検査があります。尿中に含まれるタンパクや血液などを調べることにより、腎臓、膀胱機能に異常がないか調べることができるのがポイントです。
尿の濃さを調べるためには、朝一番と夜間の、双方の尿を最低3日間採尿する検査も併せて行われます。尿の浸透圧や比重を図れるため、こちらも腎臓の異常を検査できます。また、膀胱に残った尿量や、尿を排出する速度を調べる検査もあります。

血液検査では、腎臓や肝臓、赤血球、白血球といった、一般的な身体の状況を調べます。何らかの原因で身体に炎症を起こしているかも判断できますので、欠かすことはできません。さらに必要に応じて脳のMRIなどを加えることもあります。

以上の検査により、夜尿症を4つのタイプに分類できます。睡眠時に腎臓機能が活発にな
ることによって起きる「多尿型」か、膀胱の容量が少ない「膀胱型」、「多尿型」と「膀胱型」両方を含める「混合型」、いずれにも当てはまらない「かい離型」に分かれます。
これらのタイプにより治療の方向性が変わりますので、各々の検査は重要です。

夜尿症(おねしょ)の治療は?

夜尿症の治療では、第一に生活習慣の指導が行われます。それでも改善の兆しが見られない場合は、下着に装着する夜尿ブザーが用いられます。夜尿ブザーは下着が濡れることによりブザーが鳴るもので、患者さまを覚醒させるものです。国際小児禁制学会ではこの夜尿ブザーのほか、抗利尿ホルモン製剤が推奨されています。

加えて「三環系抗うつ剤」や過活動膀胱に有効とされる「抗コリン剤」も用いられる場合もあります。しかし薬物使用については、副作用も勘案する必要もあるのが難点です。しかもこれらの治療法については不十分で、まだまだ研究の余地が残されています。

しかし夜尿症の治療について何よりも大切なのは、患者さま本人のメンタル面のサポートです。夜尿症は本人の意思とは関わりなく排尿を行ってしまう一つの病気であることから、ご家庭での温かい理解が何よりの治療であるといえます。