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STD(性感染症)

STD(性感染症)とは?

STD(性感染症)とは、「Sexually Transmitted Diseases」の頭文字からきており、主に性行為によって感染する病気を総称した言葉です。近年、性の多様化にともない、夫婦間や恋人の間柄でも、STD(性感染症)が増加してきました。

性行為感染症ともいわれるSTD(性感染症)に含まれるものには、性器クラミジア感染症や淋菌感染症をはじめ、HIV(エイズ)感染症や成人T細胞白血病といった深刻な病状を表すものまでの10種類以上と、日本性感染症学会は認めています。またSTD(性感染症)のうち、梅毒、淋病、軟性下疳、そけいリンパ肉芽腫の4種は性病と呼ばれています。
これらSTD(性感染症)は、性行為や性的接触を介して、STD(性感染症)の細菌、ウィルスを持つ患者さまの体液(精液、膣分泌液、血液など)から、皮膚や粘膜(陰茎、膣、肛門、尿路)が接触して感染するのが代表的なパターンです。従ってお口の中やのど、気管、眼球であっても感染する可能性があります。

またSTD(性感染症)には、性行為がないケースもみられます。「母子感染」と呼ばれるもので、お母様からからお子供さまへと出産時や母乳によって感染する場合もあるため、特に女性は注意が必要です。

STD(性感染症)の症状は?

主に性行為によって感染する病気の総称であるSTD(性感染症)によくみられる症状は次の通りです。おしっこをしたときに痛みが起きる場合は、淋菌感染症や性器クラミジア感染症、非クラミジア・非淋菌性尿道炎などが考えられます。男性では睾丸(精巣)も痛いことがあるようです。女性で白いチーズのようなおりものが出るときは、性器カンジダ症を疑った方が良いかも知れません。男女とも性器に水ぶくれが出現した場合は性器ヘルペスが、イボのようなものでは尖圭コンジローマが疑われます。

また梅毒では、ペニスにしこりができるほか、身体じゅうにかゆみや発疹が現れることもあります。HIV(エイズ)感染症は長期間続く下痢で、やせてくるのがポイントです。
体調が普段と違ったり、これらの症状が現れたときは、一刻も早く医療機関を受診することをおすすめします。早期発見、早期治療は患者さまご本人のみならず、パートナーさまのためにも重要です。

STD(性感染症)の原因は?

性行為は人類の営みにとって大切な行為です。性行為の中には性的接触も含まれており、口腔内での性的接触などもこれらにあてはまります。
また性行為によってつながる人間のつながりを「性的ネットワーク」といいます。この性的ネットワークですが、特に低年齢化や若年層の高密度化が財団法人性の健康医学財団によって指摘されています。
同様に症状の出ていない無症状患者さまや、性器外感染(咽頭炎など)の増加も懸念されるほか、STD(性感染症)の重複感染も出現している現状です。

これらSTD(性感染症)の原因ですが、コンドームを装着しない場合の性行為だけではありません。キスや性的接触、口腔性交、肛門性交などにより、STD(性感染症)を引き起こす細菌やウィルスを含んだ精液や膣分泌液、血液など体液が、人体の粘膜(陰茎、膣、肛門、尿路)を介して感染します。

また唾液による飛まつ感染や飲み物のまわし飲み、ピアス穴を開ける際の器具の使い回しといった、不衛生な行為や環境下でも起こります。さらに熱処理が施されていない血液、母乳や食べ物の口移しでも出現するなど、感染する原因はごく身近にあふれているのが特徴です。

STD(性感染症)の検査・診断は?

STD(性感染症)の検査ですが、HIV(エイズ)感染症の場合は、お住まいの保健所において予約制で検査を受けることができます。HIV(エイズ)感染症の検査ではプライバシーが配慮されているため、匿名で受けられるのがポイントです。検査をご希望される場合は、事前にお電話での確認を行ってください。

そのほかのSTD(性感染症)の検査については、医療機関の場合性病科はもちろんのこと、女性なら婦人科、男性では皮膚科や泌尿器科でも診察を受け付けている場合があります。その場合は事前に電話にて問い合わせるとよいでしょう。
検査の内容は問診と診察があります。診察は性器自体の診察も含み、痛みを起こしていたり、発赤がみられる時には触診を行います。
女性の場合は膣に器具を挿入し、膣分泌液を採取します。同時に子宮や卵管、卵巣の大きさや痛みをみる内診も行われます。
HIV(エイズ)感染症のほか、梅毒や肝炎の疑いがある際は、血液検査もあります。血液検査では血液中に含まれるウィルスの抗原、抗体以外にも、お体の炎症度合も調べられます。

また排尿時に痛みを伴う場合は、尿検査を行います。
STD(性感染症)の検査は、性器そのものを医師に診せるケースが多いです。しかし、正しい診断と適切な治療のためには大切ですので、恥ずかしがらずに受けてください。

STD(性感染症)の治療は?

STD(性感染症)の治療は、主に内服薬と外用薬(塗り薬)、腟坐薬を用います。内服薬のうち、感染症が細菌の場合は抗生物質を、ウィルスによるものは抗ウィルス薬を使用します。そのため、きちんと検査を受けることが重要です。

またSTD(性感染症)は一度感染すると再発しやすい特徴があります。しかも耐性菌までも出現するケースもみられます。従って症状が良くなったからといって、お薬を中断するのは厳禁です。さらに治療そのものも長期にわたる場合もありますので、治療は医師の指示に従い、根気よく続けてください。

さらにSTD(性感染症)は患者さまだけの病気ではありません。症状はなくても、パートナーの方も感染している可能性もありますので、検査を受けた方が良いでしょう。
このようにSTD(性感染症)はメンタル面にも影響を与える病気です。ですので、早期発見、早期治療に努めることが大切だと言えるでしょう。