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神経因性膀胱

神経因性膀胱とは?

膀胱に尿が溜まると、大脳に尿意を伝える信号が送られます。それによって、膀胱を収縮させる膀胱排尿筋や、尿道をしめる筋肉尿道括約筋などの利尿筋群が作用し、スムーズな蓄尿・排尿が促されます。
この信号を伝える神経系の中核は大脳皮質にあり、脳幹部から脊髄を通り、腰にある仙隋を経由し、末梢神経の膀胱や尿道の利尿筋群に繋がっています。そのため、器質的または機能的疾患などでこの神経系に障害ができると、蓄尿・排尿の働きが正常に行われなくなります。
そのことからおこる頻尿や失禁、排泄困難といった症状が、神経因性膀胱と呼ばれています。ただ、排泄困難には神経因性膀胱以外の原因も存在するため、専門医による確実な診断が求められます。

さらに進行すると臀部と腰の骨やリンパ節に転移して、骨痛、足や下腹部のむくみが生じてきます。他のがんに比べて進行が遅いので、早期発見できれば治りやすいと言えるでしょう。欧米では男性がん死亡例の第2位で、日本でも食生活の欧米化によって近年急増しています。50歳以降に発症するケースが多く、60代、70代と年齢が上がるに連れて、発生率が顕著に上昇します。

神経因性膀胱の症状は?

神経因性膀胱が疑われる自覚症状として、上位型(痙性神経因性膀胱)と下位型(弛緩性神経因性膀胱)の2種類に分かれます。大脳、脊髄、末梢神経などに障害を負ったことに起因するため、障害を受けた部位によって症状はが異なります。上位型では膀胱が過敏な状態になり、尿を膀胱に溜めておくことができなくなり、頻尿や尿失禁などがおこります。下位型では膀胱が伸びきった状態になり縮む事が出来なくなります。

尿意を感じ難くなり、症状としては尿が出なくなる尿閉、膀胱の許容オーバーによって溢れ出る尿失禁(溢流性尿失禁)などがあります。排尿障害から、それにより膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染や尿路結石がおこり、膀胱尿管逆流が長引くと、それが原因で腎機能障害を招くことがあります。

神経因性膀胱の原因は?

神経因性膀胱は、畜尿・排尿を制御している大脳、脊髄、末梢神経の、脳と膀胱を繋いでいる神経が損傷したり障害されることでおこります。
その原因は脳梗塞や脳腫瘍、頭部外傷などによる脳血管障害などの中枢神経疾患によるものをはじめ、パーキンソン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、そして事故などによる外傷性脊髄損傷や腰椎椎間板ヘルニア、糖尿病性神経障害、さらには子宮がん・直腸がんなどによる骨盤内手術後による末梢神経の損傷など、その原因は多岐にわたります。

また障害の部位により症状が異なり、仙髄の排尿反射中枢よりも中枢側に病巣がある場合を上位型(痙性神経因性膀胱)といわれ、膀胱が委縮し過敏な状態になります。これらは脳血管障害、パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷などの原因が該当します。
反対に仙髄の排尿反射中枢よりも末梢に病巣がある場合は下位型(弛緩性神経因性膀胱)とよばれ、蓄尿量が増え、排尿困難の症状が現れます。このような状態は糖尿病や骨盤外傷などに伴う脊髄損傷といった原因でみられます。

神経因性膀胱の検査・診断は?

神経因性膀胱の診断の流れは、まず医師の問診で、具体的な症状の聞き取りと、病気の既往や服用中の薬、過去に受けた手術などについて確認します。
次いで、感染症の有無を調べるための尿検査が行われ、排尿機能の状態をみるため、膀胱内圧測定や尿流量測定、尿道内圧測定などの尿流動態検査、排尿後のの残尿の有無を確認するため超音波検査や導尿による残尿測定検査などが行われます。

また大脳、脊髄、神経系統の病変が原因なこともあるため、頭部や脊髄のMRIやX線、膀胱鏡や髄液検査などが行われる場合もあります。
神経因性膀胱では、症状からある程度、障害を受けている神経の部位が推定できますが、頻尿や排尿障害の症状は、様々な要因が考えられるため、原因を見極めるため多岐にわたる検査が必要になります。

神経因性膀胱の治療は?

神経因性膀胱の治療では、まず原因に対しての治療が必要となりますので、原因となった症状の専門医の診察が必要です。
そして蓄尿障害の治療では、骨盤底体操や膀胱訓練での回復を目指します。また薬物療法では、過敏な状態の膀胱の状態を和らげる抗コリン薬などが処方されます。
排尿障害の治療では、下腹部を圧迫するクレーデ法という排尿訓練があります。その治療法で困難な場合、患者本人が導尿する「間欠的自己導尿法」が行われます。専用のカテーテルを尿道から膀胱に挿入し、1日数回、ご自身で尿を体外に出す方法で、膀胱機能の回復や、感染症の予防に有効であると言われています。
この方法が困難な場合は、尿道カテーテルという管を留置させる方法もありますが、感染症や尿路結石といった合併症のリスクもあります。

また、症状によっては薬物療法のほか、膀胱拡大術、経尿道的手術などの外科手術が施されることもあります。